ユンハンス マックス・ビルの選び方
日本でもミニマルデザインが注目を集める昨今、ドイツのモノづくりや機能的なデザインが注目されています。
腕時計専門雑誌の紙面でもドイツ時計の特集が目立ちます。
ドイツにはA.ランゲ&ゾーネ、グラスヒュッテ・オリジナル、ノモスなど個性的なブランドがたくさんあり、シャウボーグウォッチやクドケなどの新鋭ブランドも生まれていて時計業界の注目が集まるのも納得です。
なかでも私が今回紹介するユンハンスはとくにおすすめです。
ユンハンスの歴史
1900年初頭には3,000人の従業員を雇用するドイツ最大のクロックメーカーでした。
伝統や格式を重んじる一方、ドイツ初のクォーツ時計を発売し、世界初の電波時計を開発するなど、革新的な精神も持ち合わせているブランドです。
一度経営難に陥った時期があったようですが見事に復活を遂げています。
DIN(ドイツ工業規格)だけでなく、独自の品質基準を設けることで徹底した品質管理を行っています。また、1990年に製造された世界初の電波式腕時計のmega 1の部品は今でも製造されていて修理が可能だということにも驚かされます。
こうした徹底した品質管理、技術開発やデザインへのこだわりは価格に反映せず、他のブランドと比べてもリーズナブルな価格を設定することで手の届く腕時計であり続けているとても良心的なブランドだといえます。
マックスビルシリーズ
マックスビルシリーズはユンハンスを代表するシリーズです
マックス・ビルというのはバウハウス最後の巨匠と言われているデザイナーの名前です
マックスビルはプロダクトデザインだけでなく建築、絵画、彫刻など様々な分野で才能を発揮しました。1994年に永眠されましたが彼の残した作品は今も高く評価され続け若いアーティストやデザイナーに影響を与え続けています。
そんな彼が残した優れた作品の中にユンハンスのマックスビルシリーズがあります。
1962年にデザインされたマックスビルシリーズはバウハウスとマックスビルが目指したモノづくりの精神を受け継ぎトレンドの移り変わりが激しい腕時計というジャンルの中で普遍的な存在であり続けています。本当に優れたデザインや製品、思想は流行に左右されず愛され続けることを証明する良い例だといえます。
どこがどう違うの?マックス・ビルシリーズ
ユンハンスマックスビルシリーズはここ数年、毎年新作を発表しています。
70を超えるモデルが日本の公式サイトに掲載されていました。(2019年2月)
マックスビルシリーズは言うまでもなく“マックスビル”のデザインをもとに制作された腕時計です。マックスビルが健在であれば大きなデザインの変更や新しいデザインのマックスビルシリーズが生まれたかもしれませんが、お亡くなりになられた今ではデザインの変更はないと思われます。
デザインの変更がされていないのにバリエーションが70以上あるため、パッと見ると同じ時計が並んでいるようにしか見えません。非常にややこしいので違いや、選び方のポイントをまとめてみました。
マックスビルの選び方
デザインは大きく分けると5パターンほどしかありません。非常によく似ているのでネットで販売しているものを見ても違いが分からないモデルがあるほどです。
先ずは三針タイプとクロノグラフタイプで大きく分けることができます。
ユンハンスではクロノスコープと呼ばれるクロノグラフのタイプは10種類ほどしかバリエーションが無くムーブメントは全て自動巻なので特に迷うことは無いと思います。
デザイン
購入を検討している方の多くはデザインに惹かれている方が多いのではないでしょうか?
先ずは文字盤デザインの違いを見ていきたいと思います。
大きく分けて3針タイプとクロノグラフタイプの2つに分かれます。
そしてその中で以下のように分かれます。
3針タイプ
- 3針アラビア数字と外周に5分刻みのアラビア数字のインデックス
- 3針アラビア数字と外周に5分刻みのアラビア数字のインデックス(デイト表示あり)
- 三針アラビア数字あり
- 三針バーインデックス
- 三針バーインデックス(デイト表示あり)
クロノグラフ(クロノスコープ)
- バーインデックス(30分積算計と12時間積算計のスタート位置にのみアラビア数字)
- アラビア数字と外周に5分刻みのアラビア数字のインデックス
- アラビア数字(デイデイト表示あり)
ムーブメント
好みのデザインが決まったら次に着目するポイントはムーブメントです。
マックスビルシリーズはムーブメントによってさらにカテゴリー分けされています。
- max bill Hand-winding - ハンドワインド(手巻き)
- max bill Automatic - オートマティック(自動巻)
- max bill Quartz - クォーツ(メンズクォーツ)
- max bill Ladies - レディ(レディースクォーツ)
- max bill MEGA - メガ(電波時計)
- max bill Chronoscope - クロノスコープ(自動巻)
max bill Hand-winding - ハンドワインド(手巻き)
ケースの直径は34ミリ、薄さは9㎜です。自動巻と比べて小ぶりです。公式サイトにはメンズ、レディースのカテゴリーは分けて書かれていません。ユニセックスモデルです。一般的な腕時計の基準ではケース径34㎜の時計を男性が着用すると小さく感じますが、ケースのフチを薄くしているため文字盤の面積が大きく、男性が着用しても小さすぎると感じることはありません。
42時間パワーリザーブです。1日1回巻き上げることで一層この時計が好きになるのではないでしょうか?
ハンドワインドシリーズの“JUNGHANS”のロゴの下には“design”の文字があります。こちらの“design”のフォントは少し変わったものが使用されています。
max bill Automatic - オートマティック(自動巻)
最もバリエーションが豊富なシリーズです。ケースサイズは38㎜、薄さ10㎜で手巻きのシリーズよりも直径は4㎜大きくなっています。前述したようにケースサイズに書かれている数字よりも大きく感じます。また、手巻き、クォーツに比べて厚みがあります。
手巻きのモデルにはないデイト表示のデザインがあります。メンズサイズの機械式で日付表示が欲しい方はこちらがおすすめです。価格は手巻きに比べると1割から2割程度高い設定で販売されているところが多いです。
3針オートマティックには“JUNGHANS”のロゴの下には“AUTOMATIC”の文字があります。
max bill Quartz - クォーツ(メンズクォーツ)・max bill Ladies - レディ(レディースクォーツ)
メンズは38㎜薄さ7.9㎜、レディースは32㎜、薄さ6.9㎜です。
2012年に新しくリリースされたシリーズです。
機械式時計こだわりがないならクォーツがおすすめです。手間がかかりませんし、カラフルなストラップ、文字盤のモデルが多くリリースされています。価格も自動巻、手巻きよりも安くなっています。
クォーツは“JUNGHANS”のロゴのみです。
max bill MEGA - メガ(電波時計)
2018年に新しく加わったラインナップです。ケースの直径は38ミリ、薄さは9㎜です。
世界で初めて電波時計を作ったメーカーであるユンハンス。人気シリーズのマックス・ビルシリーズからも電波時計をリリースしました。デザインはブランドロゴの下に“MEGA”という文字が入っている以外は変わったところはありません。防水性はかいぜんされ、3気圧防水になっています。
メガシリーズには“JUNGHANS”のロゴの下には“MEGA”の文字があります。
max bill Chronoscope - クロノスコープ(自動巻)
クロノグラフのことをユンハンスでは “クロノスコープ”と言うようです。
全て自動巻です。ケースの直径は40ミリ、薄さは14.4㎜です。
クロノグラフは文字盤の中にたくさんのインデックスや針が並ぶためゴチャゴチャしたデザインになりがちですがユンハンスはクロノグラフでもバウハウスデザインを採用して無駄を排除し、シンプルですっきりした見た目に仕上げています。
ケースサイズは40㎜とシリーズの中では最も大きいサイズです。12時位置に30分積算計、6時位置に12時間積算計、3時位置に日付表示があります。秒針に見える中央の針はクロノグラフ針なのでスタートボタンを押さないと動きません。
ミニマルデザインが流行しだした2014年あたりにシンプルなクロノグラフの時計は多くリリースされました。似たようなデザインの時計は現在多数あるのですが、実際手に取って見ると、類似品には真似できないカッコよさがあります。
シンプルなクロノグラフをお探しの方はおすすめです。
クロノグラフには“JUNGHANS”のロゴの下には“CHRONOSCOPE”の文字があります。
共通する特徴
実用性を重視してデザインされています。
理想とする視認性、薄さや軽さ、着用感などを実現するために考え抜かれたデザインということが分かります。
こだわりのポイント
ケースのフチを極限まで薄くし、文字盤の外周に配置したインデックスに針を届かせ視認性を確保するために文字盤と針の先端をカーブさせています。
どのモデルも高品質でありながら量産可能にすることで手の届く価格を実現しています。他のブランドの同様のスペックを持つ時計と比べても決して高い価格設定ではありません。さらに、日本では並行輸入品が多く出回っているため正規品にこだわらなければさらに安く手に入れることができます(2018年12月現在)。
並行輸入品だと故障した場合の修理代金や、オーバーホールやその他メンテナンス料が高くなってしまいそうだと心配される方も多いかと思います。しかし、マックスビルは工業化、量産化を前提にデザインされており、ムーブメントには汎用性の高いETAのムーブメントをベースにしたものを採用しているため、おそらく正規の修理業者でなくても修理やオーバーホールすることが可能です。また純正の部品にこだわらなければ修理代金もそれほど高くないと思われます。
その他選ぶ際の注意点
サイズはケースサイズの数字だけで判断するのは難しい
マックスビルシリーズはベゼルが細く、文字盤を大きく見せるようにデザインされているので着用した時、数字よりも大きく見えます。
文字盤の色が微妙に違う
写真で見ると同じ色に見えるモデルでも実は微妙に違うものがあります。
特に白に見えるモデルは要注意です。
シルバーやシャンパン、マットホワイト、ポリッシュホワイト、マットシルバー、鏡面仕上げ、サンレイ仕上げなどバリエーションがたくさんあります。
参考までに入手できたものに関しては画像を貼っておきます
まとめ
現在マックスビルに似たようなシンプルなデザインをよく目にしますが、おそらくどの時計も時間とともに古くなり飽きがきてしまい自然と着用する機会が減ってしまうのではないかと思います。マックスビルの腕時計はデザイン(見た目だけでなく実用性も含めた)にこそ価値があります。ファッションアイテムとして考えた場合流行り廃れとは無縁の数少ない腕時計です。腕時計を永く愛用したい方、大切な方へのプレゼントにもおすすめです。
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